「災害の行動科学―被害の大きさを左右する人間的要因―」
大野 隆造 (大学院総合理工学研究科人間環境システム専攻/教授)
  • 災害時にパニックに陥ることは実際には少ない。むしろ、災害の当事者は冷静に行動する。だが、「現場はパニックになっている」という報道は目を引くためメディアがそう報道しがち。
  • 災害時には、被災者同士の連帯意識が高まり、「災害ユートピア」とも呼ばれる助け合いの状態が出現することがある。震災に対する日本人の冷静な対応は世界から賞賛を浴びたが、このような行動は決して日本人だけのものではない。
  • 警報を聞いても、実際には人はなかなか避難しない。緊急時にも日常生活の延長線で行動してしまい、緊急時モードになかなかならない。そのために被害が拡大することはよくある。
  • 定期的に災害(台風や大雪、津波など)に見舞われてきた地域には、「災害文化」とも呼べる災害対応の知恵の体系が集積している。それは時として観光資源にもなるような美しい町並みを作ったり、災害に対する感性を培っていたりする。
  • ただ雨露をしのげるだけでは「家」にならない。仮設住宅を造る上でも、そこに住む人のライフスタイルも含めて考え、「我が家としての生活拠点」にならなくてはならない。

TITLE:こちら東工大130年事業事務室です: 「基礎から始める都市地震工学シリーズNo.3」が開催
DATE:2014年12月29日(月)
URL:http://titech130.blogspot.jp/2011/06/no3_03.html