はじめに

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東工大バスケ同窓会第1回セミナーが開催された。(2014年10月21日)

稲垣達敏氏「ピースボートに乗って地球一周の船旅」

2014年10月21日(火) 東工大蔵前会館の手島精一記念会議室にて稲垣達敏さん(1967年化工卒)による東工大バスケ同窓会第1回セミナー 「ピースボートに乗って地球一周の船旅」のお話があった。
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(写真右: 講師の稲垣達敏さん)
 愛知県から駆け付けて頂いた伊藤勝三さんから自己紹介兼ねてのご挨拶で会は始った。 株式会社デンソー勤務中に長くアメリカ駐在しており、アメリカの年金をもらっているが、日本の年金受給は無いので日本国の財政改善に多大な貢献をされているようだ。
 次に、鹿子木会長から東工大バスケ同窓会セミナー開設の趣旨説明があり、稲垣さんのお話しが始まった。
(写真下:愛知県から駆け付けて頂いた伊藤勝三さん)
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参加者は以下のとおりで、講師の話の途中で質疑があたっり、講師も状況に応じてアドリブ説明を加えるなど、 講師と参加者のやりとりがアットホームな雰囲気の中で進められた。一方、会社を辞めて今後の進路を見つめなおす目的で若者がピースボートに参加することもも多いなど 想像以上に社会的に深いテーマの内在を感じさせた。
(写真下: 鹿子木基員会長の同窓会セミナー
の目的、意義の説明)
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参加者:
伊藤勝三(1967,電気),
佐藤修三(1963,電子),
大佛俊泰(バスケ部長、情報環境学専攻 大学院教授),
鹿子木基員(1958,化学),
星野仁美(1959,機械),
青田正明(1961,機械),
高木ヤスオ(1960,応化),
岡安彰(1963,機械),
稲垣達敏(講師),山本文雄(1967,化工),横山功一(1969,土木),
前田豊(1972,制御)

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(写真上: 第1回セミナー参加者集合写真(大佛先生は所要で退席))

プロローグー世界最初の世界一周はマゼラン
500年前に世界で初めて地球一周を成し遂げた マゼランの話から始まった。近年、有名観光地を回る世界一周船旅も多くある中、今回のピースボートによる船旅は「地球をぐるり一周」してきたのもで 「世界一周」とは少し趣が異なるというものであった。
今回の船旅の旅程
 今年3月13日に横浜港を出発、 ブルネイなど東南アジアの港に寄り、スエズ運河、パナマ運河を通り、ペルーのマチュピチ、イースター島、最後のハワイ島など20港に寄って 6月24日に帰港する104日間の船旅となった。
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ピースボートの船旅
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総トン数3万5千トンのオーシャンドリーム号で、
乗客定員は1,422人、クルー300人
(因みに、豪華客船「飛鳥Ⅱ」は5万トンで定員960人、クイーンエリザベスはさすが大きく9万トン、定員2,092人)
地球一周を南回り、北回り、赤道近辺周りの年3回実施している。(写真左は夕日が沈む直前に太陽の周りが緑色に瞬くグリーンフラッシュ現象。乾燥した状態で見れるまれな現象。写真自体はパンフレットからであるがこれを見る貴重な経験をした。)
、大きな特徴として今回は5歳代から92歳までと幅広い年齢層の乗客で、 特に20~30歳代が30%程度おり活気にあふれていることにある。
 これまでに、4万人を超える参加者があり、180以上の港に帰港している。
ピースボートとは?
ピースボートは1983年設立された 国際交流団体(NGO)で「平和で人と環境に優しい地球社会」の実現を目指して、国際交流の船旅を企画している。
 ・寄港地の学校や家庭を訪問して人々と交流
 ・農村や現地NGOを訪問し、先住民の生活や文化を体験
 ・平和・環境・人権活動、教育関連等の物資提供
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などの活動を行っている。これらの中で、教育関連物資の提供により、提供された国の教育環境が向上して感謝され、ベネゼーラなどでは大統領が ピースボートの人たちに挨拶に来られるそうだ。
 観光ツアーも活動の一つであるが、これを主目的で参加する人の比率が大きくなっている。
 船旅自体は㈱ジャパングレイスが担っている。
(写真上: ピースボートの操舵室の見学。GPSによる自動操舵が中心だそうだ。)
ピースボートにはドレスコードがない!
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  乗客のほとんどは日本人で、 豪華客船のようなドレスコードがなく稲垣さんもホットした。食事も2か所あり1つは和食で美味しく、3か月間も船の中に居ても体重が変わらないをどの健康食が取れた。  一方、クルーは全員外国人でアジア系の人が多いとのことで、船長はウクライナ人、全員英語を話すので、クルーとは英語でコミュニケーションをとる。
(写真右上は熱心に講演を聞く参加者。写真右からお忙しい中駆け付けて頂いた大佛先生。横山幹事、ホームカミングディに続き参加頂いた佐藤修三さん。)
洋上は毎日が忙しい
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約100日の船旅中、洋上生活は約70日でクルーズの相当部分が船中となる。世界一周船旅は、日中はデッキのプールサイドでゆっくり読書、夜は華やかにパーティーというイメージの方もおられるが、実力派専門家による講演、カルチャースクール、勉強会、演奏会などのほか乗客による囲碁、麻雀などの自主企画など、毎日目白押しのカリキュラムが組まれていて、とても退屈している暇はない。
(右の写真は、一日のプログラムの半面で、びっしりとカリキュラムが組まれている。)
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無料の英会話レッスンもあるが、毎日一定時間集中的に実施する有料英会話トレーニング(GET)は有名で、船から逃げ出すわけにいかず実践的会話力が付くと評判となっている。稲垣さんは社交ダンスのレッスンを受け、相当技量が向上したようだが、船上だけで物足りなく、帰国してからもレッスンを続けているそうだ。  日本的な盆踊りや、のど自慢、船上結婚式もあって忙しい。
(写真上は洋上カーニバルのひとコマ、浴衣姿も交じってハワイアンを披露しているようで、日本的)
船上家族なんていうものもあります。
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 いろんな人の組み合わせによる家族が結成され、家族の会が日程表に組み込まれている。誰が決めたのか、稲垣さんはその家族のお父さん、お母さんは一緒に行かれた奥さんではなく別の方で、フランス語の先生なども同じ家族に入っていて、多様性のあるグループ活動を経験されたとのこと。本当の奥様と同じように船上家族の奥様にわがままなんか言ってなかったかしら?
(写真右上は、稲垣さんの船上家族。一番奥が稲垣お父さん、その右がお母さん。食事など定期的に集まって団らんする。)
最初の寄港地ブルネイは王様の国
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東南アジアのボルネオ島にあるイスラム教国の立憲君主制の国で、王様が絶大な権限を有しているが、石油、天然ガスの輸出で潤っていて、個人への所得税、住民税はなく、医療費、国公立学校は無料となっている。伝統的に水上生活を好む人たちがいて、政府の援助で水上家屋を建て住んでいる人たちがいる。私は、この実態は知らなかった。
ソマリア沖の海賊に警戒
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今回の航路スエズ運河は、海賊が出没するソマリア沖を通過する。稲垣さんが調べたところによると、1990年以降無政府状態となっているソマリアでは、5グループ約1000人の武装グループいて、身代金で豪邸を建てている連中もいるとのことである。
 日本の主な被害は2007年から2011年の間で8件、身代金は100~250万ドルで交渉の窓口はイタリア政府―マフィヤ―海賊のルート。
 
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今回のピースボートは外国の護衛艦に守られて無事航海を続けたようだが、飛鳥Ⅱでは旅客は下船し、飛行機でバイパスしているとのことで、スリルはあるが貴重な経験をされたようだ。
 (写真右上はソマリア近海地図で、赤丸のアデン湾は護衛艦がつく領域。
写真左下は今回の護衛艦。自衛隊ではなかった。)
スエズ運河とパナマ運河
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 スエズ運河は出航1ヶ月後に通過した。ヴァスコダ・ガマが喜望峰を発見してインドに到達してから510余年、稲垣さんは日本有効橋の下を通って地中海に入った。
(写真右はスエズ運河のエジプト・日本友好橋を望む。エジプト国内情勢を考慮して、今回はエジプト寄港は見合わせとなった。)
更に、1ヶ月後、今度はマゼランが南米先端のマゼラン海峡を発見してから490余年、パナマ運河を通過した。スエズ運河のゆったりした光景に比べ、狭い水路と大きな高低差をトロッコのようなものに引かれて進む様子は、話に聞いていたが冒険気分を満喫できそうだ。
(写真左はパナマ運河のガトゥン閘門に入るところ。3段で海抜26mのガトゥン湖まで登る)
気にかかる死海の海面低下
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 ヨルダンのアカバ世界遺産のペトラ遺跡のお話があり、紀元1世紀ごろの遺跡見学の話があったが、発掘は今だ1%ということでわくわくさせるものを感じた。その後ヨルダンとイスラエルに接する死海観光が報告された。湖で仰向けに浮いたそうだが、海抜マイナス418mの湖面が年々低下しておりなくなってしまうのではと心配する向きもあるという。 ほんとうに心配だ。
(写真は死海。海抜-418mの位置にある。こちらはヨルダン、対岸はイスラエル。中東を感じる。)
ヨーロッパとアフリカの喉元ジブラルタルが気にかかる
 トルコのクシャンダス、ギリシャのの白亜の建物と海のコントラストが美しいギリシャのミコノス、税金逃れに作った石積み屋根が4世紀を経て世界遺産になったイタリアのバーリ、モロッコのカサブランカの城壁に囲まれた地域カスバ、アドリアの真珠クロアチアのドブロブニク、など盛り沢山の都市、遺跡を訪れているが、ジブラルタルが気にかかった。
 スペインやポルトガルがあるイベリア半島の最先端でアフリカ大陸モロッコ領の間の最も狭いところで14kmということである。地中海の鍵と言われているそうだが、食べ物が通過する喉仏のように思われる。
ヨーロッパ側の半島にジブラルタルがあり、ここはスペイン領ではなくイギリス軍が駐留するイギリス領、スペインが返してくれと言ってもイギリスは返すつもろは無いようだ。この対岸のアフリカ大陸側の町がセタウでモロッコ領の中にあり、スペイン軍が駐留するスペイン領でモロッコが返せと言ってもスペインは返さない。稲垣さんは、中世の名残を感じて岩山「ヘラクレスの柱」を眺めたのだろうか。
(写真は古代からヘラクレスの柱として知られるザ・ロック。かってヨーロッパとアフリカ大陸はつながっていて、ヘラクレスが棍棒か何かで岩山を二つに割ったため、地中海と大西洋がつながった。その時割られた岩山のヨーロッパ側が「ヘラクレスの柱」このザ・ロック)
一度見てみたい世界最大落差を誇る滝エンゼルフォール
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 パナマ運河に入る前ベネゼーラを訪れている。ピースボートはこの国に教育関係資材を提供して効果をあげ、大統領が感謝のお迎えをしてくれるそうだ。
ここに、世界最大の落差979mのエンゼルフォールがある。水は下部に達する前に霧のように拡散して滝壺がないそうだ。
(写真はエンゼルフォール。滝の水が霧となって写真撮影もままならない。この写真はWebから)
身近になったマチュピチュ
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 ペルーの首都リマの外港カヤオに寄港、ここからインカ帝国の首都クスコに飛行機で移動しマチュピチュを観光された。日本からは地球の裏側で、直行便もなく大変な思いをしないといけないところと敬遠していたが、稲垣夫妻はピースボートの我が家の玄関から2日間楽しく標高2400mの空中都市マチュピチュを堪能したということで、少し身近に感じるようになった。
モアイ像のイースター島が危機に瀕している
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 ペルーからチリ領イースター島は巨大な石像で年代に寄り色々な形態があるという。これを製作するための石材の切り出しに木材を使用しするが、部族の権威を高めるためモアイ建造競争が起こり森林が消滅していったと言われている。美しい南の島が荒廃の危機に瀕している。
イースター島の後、タヒチ、ハワイを訪れ横浜に帰港した。
(写真上はイースター島のモアイ像。海を背にして立っている。)
(写真下はイースター島の港が先客で一杯だったのでボートで島に向かっているところ。この写真では見えないが岸辺にモアイ像を見ることができる。)
エピローグ(稲垣さんの感想)
・イベントが多く退屈しない
・ピースボートは青年が多く活気がある
・食事、スポーツ等、健康的な生活
・寄港地でのツアーはドアツードアで楽
・寄港地の色々な側面について見聞きし、世界が広がる
・次回乗るときには寄港地での交流参加も考えたい 
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ところで、奥様の評価は如何ですか?との質問があった。― 帰ってきた当初は、十分満足したので次回は遠慮する、とのご意見だったようですが、お友達に旅のお話をするうちにまた行きたいと考えられているとのこと。稲垣さん良かったですねなにか2年後ぐらいを目標にされているようです。楽しいお話しありがとうございました。

(写真はスライドを食い入るように見つめる参加者。何かに驚いた様子)

懇親会―会場借用時間忘れて楽しんだ。
(乾杯)懇親会は、第1回セミナーの参加申し込み第1番の佐藤修三の乾杯で始まった。稲垣さんのお話の間にも質問が出ていたが、その延長で疑問質問が出され、和やかな雰囲気の懇親会となった。
(1.5liter赤ワイン)鹿子木さんからの差し入れ赤ワインは1.5リッタ-でその大きさ自体が話の種になったが、稲垣さん、伊藤勝三さん、山本さん等の同期が直前に同期会を実施した長野県産の赤ワイン含めて空にしても話が尽きなかった。
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(若手課長時代の佐藤修三さんの話) セミナーで「船内家族」のお話があり、これに関することから佐藤修三さんが若い課長さんとして岡山に赴任した際の支局統合に関する人情味ある奮闘と苦悩の話は印象的であった。
(同窓会は船内家族)同窓会や現役はバスケットボールを通じた大きな船に乗った家族だ、という前田豊さんの話から始まった気がするが、青田さんは学生時代学費を稼ぐためにアルバイトをしながら練習に出ていたが、夏休みはバイトで合宿には出れなかった。最後に、合宿に出たかったなーとぽつりと言われたのだが、青田さんの人情味と強さのルーツはここにあったのかと勝手に得心した。
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(若者とピースボート)稲垣さんの話の中で、若者が自分は何をしたいかを探すために会社を辞めてピースボートに参加する話は、現在の若者の一面が示されている気がして、懇親会で少し話を深めようと考えてたが、時間がなく今回は実施できなかった。
(セミナー参加者数)受講者数については、特に10月はイベントが多く、日程上参加できないことが最大の要因と考えられるので、10月、11月は少なくても3ヶ月以上前に案内を出す必要がある。
(夫婦参加のセミナーもあり)世界一周に乗り気でない奥様、または逆にご主人を説得して船旅に引っ張り出すきっかけの場としてご夫婦で参加して頂くこともありうるとの話も出た。
今回は、久々の稲垣さんのお話が聞けたこと、佐藤修三さんに参加頂いたことなどがあり、気が付けば会場借用時間が過ぎていた! それほど楽しいセミナーだった。皆様に感謝!!